この土日は石巻から近い牡鹿半島という場所での作業でした。
今回は津波で壊滅的な被害を受けた牡蠣の天然養殖のお手伝い。 私はまったく知らなかったのですが、牡蠣はホタテの貝殻に穴を開けて針金で繋げ、 ネックレス状態にしたものを海中にぶら下げておくとそこをベッドにして育つのです。 そのホタテの貝殻ネックレスを作るのが今回の作業でした。 牡蠣の養殖に使うホタテも、フォークリフトも、機材も、 すべて津波で流されてしまったので辞めてしまおうという方ももちろん続出する中、 それでも頑張ろうと熱意を持って再開に挑む方とのおつきあいです。 牡蠣は育つまでに3年掛かるそうで、気の長い仕事です。 今までは継続的に3年前のものが収穫できたのですが、 現在は当然牡蠣事業としては無収入な状態です。 (一部早く育った牡蠣がいるそうですが) ホタテの貝殻は津波で流されましたが可能な限り拾い集められていていました。 (※SUGARさんが1月に単独で参加したのが津波で流されたホタテの貝殻を海岸で拾い集める作業だったので、まさにその時拾われたものだそうです。繋がってる!) 前回のワカメの作業の時も思ったのですが、 真っ先に思ったのは「雇用の邪魔になりはしないか」ということでした。 そこで事情を確認してみました。 今回仲介してくれた仙台に住むXm乗りのmiyakoさんのところに知人を通じて要請があり、 「ハローワーク等で広く募集をしているが応募がまったくなく困っている。手作業の人海戦術でやらなくてはいけない作業が山積みだがこのままでは絶対に間に合わない。時期を逃すと収穫は不可能となり、ただでさえ数年間無収入で牡蠣の養殖を再開しようとしているのに人手がないのではお手上げだ」とのこと。それならばと迷わず参加を決めました。 このことは今回の道中でも盛んに議論されました。 「利益を生み出す商売の手伝いをすることは有りか無しか。」 現在は壊滅的に機材や漁場や事務所や車や商売道具がダメになっている中、 (牡鹿は津波で亡くなられた方も多く、人手も…) 無償で手伝う人がいないと廃業への道へ向かう可能性が高いと現場で感じました。 イメージ的には、クルマの「押しがけ」。 押しがけが成功すれば、漁業が壊滅を逃れ、 また沢山の雇用を生み出すことが出来るだろうと思いました。 港(表浜)は津波があった時のままの崩れかけの漁協の建物、 フォークリフトには寄附(貸し出し?)の、色々な財団や企業のシールが貼られ、 軽トラも他県ナンバーばかり(借り物?)。 急ごしらえのプレハブ小屋、ひび割れの激しい道路、土埃、 そして周囲は山のような瓦礫に囲まれてすぐそこの海も見えない中の作業です。 このような荒野で地元の方だけで孤立無援にがんばるのはとても厳しい。 月に2日の参加しか出来ていないけれど、月に2日しか参加できない人が沢山くれば 大きな力になります。 8時から5時までの作業で9人、現地には別のボランティアグループも居て、 出来た貝殻ネックレスの数はかなりのものでした。 この仲間で同じ場所に3回目の参加なので(私はわかめに続いて二度目) 顔なじみの地元の方も増えました。継続的に同じ顔が見れるのは、 みなさんも嬉しそうなのが感じられ、私達も嬉しい。 そして作業が終わった後(夜)は「アイスクリームをご一緒しませんか?」という告知をゆるーくしてあったので、気が向いたみなさんが仮設住宅の集会場に遊びに来てくれました。 アイスクリームはSUGARさんのお友達からのご提供。かなり美味しい。 特にテーマも決めてなかったので、みんなでアイスとお茶でわいわい盛り上がる。 前の落語の時もそうでしたが、仮設住宅は声を潜めて暮らす狭い空間で、 集会場に何やら珍客が来てアイスを一緒に食べようと言っているのに付き合うのは、 周囲に何もない集会場の方たちにとってはうさ晴らしとなるようで、 30人以上が参加してくれて大盛況。(最年少2歳、最年長95歳!) 私は開場前から入口に立って待ってくれていたおばあさんと話しました。 私達も交えて輪になって井戸端会議が出来る人達の中でポツンとしていたからです。 おばあさんは耳が遠く、大勢の話には参加できない様子でした。 私には「耳が遠い人でも私の声だけは聴こえる」という数々の実績があります♪(笑) そして、やっぱり私の声だけは聴こえました♪(笑) 御歳95歳のおばあさんはちっともボケてもいず、実は面白い話が大好きな可愛い人。 孫の話、息子に津波の時に車で助けてもらった話、その時老眼鏡さえ持ち出せなかったという話、2間の仮設に家族5人で居てちょっと居場所がない話、私なんて歳なんだから津波で死んじゃえば良かったのにという話(;_;)…話は止まりません。 私も、作業先のおじさんが津波で入れ歯が流されて何言ってるかわかんなかったという話をしたら大笑いで「私もよ!私も流されたの。もう作ってもらったけれど」って…。 だいぶ盛り上がった後、家の前まで手を繋いで送りました。柔らかい手…。 これは私のエピソードですが、散会後に聞くと、 他の8人も様々なエピソードがいっぱいでした。 これは今後、何が求められているかのさりげない生の声リサーチでもあるのです。 時間は刻々と過ぎていて、求められるものも変わっていくのを感じます。 この1年間、この仲間は「ボランティアに来て酒盛りをするなどもっての他」という認識で作業の為の滞在中は禁酒というルールでやってきましたが、プレハブのれん街が復活し、そののれん街の海鮮屋さんがアイスクリームを食べに来てくれている現在、そこでお酒を飲むこと(私はあんまり呑めないけど)は直接的な復興支援以外の何ものでもないので、来月以降は禁酒を解こうという提案をし、(持ち込みはもちろん×、現地のプレハブ居酒屋等で飲食する)全員賛成でそのように決まりました。 今回はのれん街の豪華なくじら入り海鮮丼を二回頂きました。 おいしかったです。
by kazztomo
| 2012-06-05 14:19
| 考え事・つれづれ
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